木曜日, 1月 03, 2013

本:コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

 コンテナって、何の変哲もない箱にしか見えないので、特に期待していなかったのだがこれがどうして、なかなか面白かった。

 まず、コンテナが普及しだしたのが 1950年代からとわりと新しいこと、それまでは、荷物はバラバラのものを船積みしていて、それ専門の沖仲仕という商売がある事を知らなかった。古い映画で港で働く男たちがかっこよく描かれることがよくあるが、その理由がやっとわかった。
 また、アメリカでも、少なくとも1970年ぐらいまでは規制やら補助金が幅を利かせていて、船会社が文字通りの「護送船団方式」で守られていたというのもちょっと意外。沈黙の春を読んだときも感じたが、少なくとも 50年くらい前のアメリカ政府には、日本的なところがあったらしい。いまはそれが改善されていると良いのだが....。

 それでも、長い紆余曲折を経てコンテナは世界の物流を根本から変え、世界のフラット化に貢献した。以前、舶来もののウイスキーは高価だったが、今、輸入ワインがコンビニで数百円から買える。

 しかし、それは万能ということではない。
 海上輸送コストを下げるためにコンテナ船は大型化し、そのために設備の整った大規模なコンテナヤードと水深の深い桟橋が必要になる。まず最初に、これらのハードウェアが準備できないとコンテナ船はこない。大規模な投資をしてこれらの施設を作ったとしても、高価な大型船をすこしでも有効活用するために、寄港する港は最小限に絞られるので他の港との競争になり、寄港してくれるとは限らない。
  中国やインドの人件費が上昇したら、製造拠点はアフリカや南米へ、とは簡単にいかないらしい。
 物流の世界はそれほどフラットではないようである。いまのところは。

 ま、IT 系はモノは動かないあまり関係無さそうだが。

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