日曜日, 7月 19, 2009

本:獣の奏者

 テレビのアニメなんぞここ何年も見ていなかったのだが、プロダクションIG 製作のアニメを NHK で流しているというので見てみたら、これがなかなか面白かった。NHK らしいというか IG らしいというか人はノッペラとしているのだが背景や CG はなかなか凝っている。
 いつも行く本屋の、立ち読み可の本棚にマンガ版があったので読んでみたが、これがまたなかなか面白い。
 なので、図書館に予約を入れたら、待ち無しですぐ借りられた。うーん、意外と人気無いのかなぁ。
 
 上巻の最初はアニメと妙にダブってしまって違和感があったが、中盤以降は物語の世界にどっぷりはまる。漢字に振ってあるふり仮名の具合を見ると小学校高学年あたりから上を狙っていると思うのだが、「かすかに商売女の残り香が漂ってきた」などとドキリというかニタリとしてしまう表現もある。ハリーポッターはこういうのは一切排除してあったが、日本は 公共放送が 19:30 から流している時代劇でも吉原遊廓が平気で出てくるぐらいだからお国柄の違いというものだろうか?
 下巻の始まりあたりで現在放送中のアニメを追い越し、未知の世界へ。エリンが大怪我をするのを「ああ、やっぱり」との思いで読み、リランに乗って空を飛ぶところで「そうくるか」と思う。若い女の子が自在に空を飛ぶ...ナウシカ?そういえば王家と大公家の2重構造はカリオストロの城?いわれて見れば、湯浴み場でのセィミヤ妃はクシャナの若い頃と思えなくも無い。いや、ここまで行くと考えすぎか。
 
 最後の山場、獣の奏者の章はほとんどページが無い。二転三転したあとに、わりとあっさり終わる。もう少し先が読みたいなぁと思っていたら、3年越しで続編が出るそうだ。これは楽しみ。
 
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 全体を通していろんな隠喩があるようで考えさせられた。王家と大公家(権威と権力)の関係は戦前の天皇家と軍部の関係のようにも思えるし、好奇心のままに突き進んでパンドラの箱を開けたエリンは原爆を開発した科学者のようにも見える。
 使ってはいけない技が偶然再発見されることがないように、伝承しながら使うことを厳しく禁じるというのは何を例えているのだろうか?原爆?王獣使いたちが技を捨て去ってしまったがためにエリンが再発見してしまったことと対照的だ。
 
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 続編は単行本2冊。ここからどう引っ張って行くのか楽しみではあるが、ファンタジーで行くのは無理なんじゃなかろうか。
 
 図書館経由でまわってくるのを待てるかどうか...。

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 中盤まででアニメと小説の筋書きが微妙に変わっている。アニメで、それも NHK 教育の番組として、小説のラストをどう料理するのか楽しみ。

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