水曜日, 2月 20, 2008

[本]これもやばそうだ - 水戦争 水資源争奪の最終戦争が始まった



 伊藤洋一さんがRound Up World Now日経ビジネスの書評で取り上げていたので、街に出た本屋に寄ったついでに買ってきた。
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 最近にはめずらしい、硬派な感じの新書。一緒に買ったのが"「食い逃げされてもバイトを雇うな」なんて大間違い"だったせいで余計にそう見えるのかもしれないが。

 人類の最初の争いは、川の水を取り合う「水争い」と聞いたことがあるので、「水戦争」などといわれても「何をいまさら」と思っていたがさにあらず。
 水は有限な資源で、人類が使える淡水の量は少なく、その水を増加する人間が取り合い、それに異常気象が追い討ちをかける。
 基本的にはそんな話なのだが、著者は商社の経済研究所の所長という肩書きの人なので、その切り口が政治的・経済的。いままでは水の問題は環境問題として聞くことが多かったが、この本では国際会議がどうとか、どんな産業・企業がどう影響してるとか(有望な会社とかファンドまで説明している)、各種統計から実際の農産物の収穫量の変動などで説明している。海面が何センチ上がったとか、デング熱の発生する地域が北上しているなどという「地球温暖化・環境問題」風の説明とは違った意味で、かなりやばそうなリアリティがある。

 4章で一旦「水」から離れるが、これは「水戦争」の戦場・プレーヤーの説明の前振り。
 日本が消費量の60%を輸入している食糧は生産のために多量の水が必要で、それを考えれば日本はすでに水不足、不足分を多量の輸入でまかなっている現状。
 食べ物は輸入すればよい、などという意見もあるが、それがあまりにリスキーなのは、バイオ燃料ブームや最近の異常気象による干ばつ・不作ではっきりした。
 が、この本を読む限り、自給率を上げようにも日本では水が足りない。
 世界中で起こる「水争い」にいかに立ち向かうべきか、という話になっていく。

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 しかし、「灌漑」についてぼんやりしたイメージしかもてないのはこちらの知識不足だろうが、たとえば「不透水面化」という言葉を何の説明も無く使うのはあまりに不親切じゃ無かろうか。
 そのあたり、もう少し気を使ってもらえるともっと読みやすい本になると思うのだが...。

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 あと、水とは関係ないが「均衡点の変化」というのは勉強になった。最近の原油価格とか鉄鉱石の60%値上げ、などは正にこれだろう。
 近い将来「多量の水を消費して作られる穀物」、遠くない将来に「水そのもの」の均衡点も変わってくるのだろう。

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 昔「原子力発電所」なるものの実態を知って絶望的になったが、最近はもう慣れた。おかげでオゾン層の破壊や地球温暖化も全然怖くないが、パンデミック(感染爆発)とか水不足とか後から後からでてくる。

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